尾崎未来・BEAT-POP・SAILORQ2のホームページ BABYPOP

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・9/2(日)こみっく★トレジャー32では 5号館チ19ab「BEAT-POP/立呑屋」でお待ちしています
エロとワイセツとパロディと著作権と私…?

エロとワイセツとパロディと著作権と私…?

「秘密-The Great Escape-」をたくさんの読者の皆さんにご覧頂き、
誠に有り難うございます。
尾崎未来のtwitter上で少し気になるやりとりが有り、
どうも誤解があるようなので、一言。

「自分はお金がないから無料サイトでダウンロードして読むけど何か?」とか
「二次創作(パロディ同人)をやっている自分の事を棚に上げて、
 自分の作品を無料ダウンロードされて「著作権侵害だ」と文句を言うのは
 筋違いじゃないの?
 だったらあなたの作品で二次創作しても、
 出版社は黙認してくれるんだよね?」
というコメントを、尾崎未来及び出版社様に投稿した方がいました。

!パロディ作品にも著作権はあります。!
もし原著作者側がパロディに対し「著作権侵害」を訴えたとしても、
日本の法律上、パロディ著作者が他者に著作権を侵害されても構わない、
と言う理由にはなりません。

ではなぜ、パロディ作品が著作権侵害を訴えられていないのでしょうか?

著作権侵害が親告罪(被害者が告訴しない限り罪に問えない)である理由の一つに、
実質的被害の多寡に差が大きいと言う事も有り、
全てを一元的に法でくくるには実情に沿わない場合がある、と言う事が挙げられます。
実際、TPP導入にあたって、著作権の非親告化も協議されましたが、
「COOL JAPANコンテンツを推している日本において、
 何でもまとめて著作権侵害にしちゃうと文化そのものの破壊につながる。
 必要な関連法の整備で対応しよう」(←違法ダウンロード法がそれ)
 との見地から、現状では非親告化されない方向となりました。

この時「コミックマーケット」を筆頭とする同人活動に対して
原著作者側である作者・出版社・制作会社側は
「同人」漫画・アニメ・ゲーム・音楽と言ったパロディを含む様々なコンテンツが
「公式」と協力ないし友好的に作品全体を盛り上げている今の現状から
厳密な著作権管理にとらわれず、総合的な盛り上がりを重視し
「新たなコンテンツ・クリエイターのゆりかご」として捉え、
過度な規制を加えない流れが作られました。
(じゃなきゃ、コミケでの企業ブースと同人ブースの両立なんて不可能です)
しかし一定のガイドラインは設け、行き過ぎた物に対して
場合によってはそれなりの対処をする、と言う形になっています。

この説明である程度おわかりかと思いますが、
「公式に迷惑をかけるような活動で無く、ファンと共に作品がより盛り上がれるのなら
 公式は敢えて厳しく取り締まらずに、パロディも含め一緒に盛り上げよう」
と言うスタンスを、原著作者側が示しているのが現在なのです。

「艦これ」を例に挙げましょう。
角川ゲームス・DMMから提供されているこのゲーム、
パロディには非常に寛容です(そもそも制作側は「二次創作は制限しない」と宣言していた)。
パロディ同人誌の人気イラスト絵師さんが、公式ガイドブックにイラスト掲載されるなんて事は当たり前。
エロ同人誌の盛り上がりが公式の人気に反映される好循環も出来ています。
しかし、以下の2点では注意が必要。
①同人イベントの艦これブース内ではエロコスプレ及びメディアの販売は禁止。
 現実の人物を使った実写映像でのエロ表現は作品イメージにそぐわない。
②「艦これ」同人販売においてエロパロ同人作品は
 DMM.comサイト内での「艦これ」キーワードでの検索は使えない。
 エロ作品ではない「艦これ」に対し、自社コンテンツ名での検索を
 エロパロ作品に公に認めるわけには(さすがに)いかない。
 ただし「艦これ」をキーワードにしなければOK。←この辺が寛容さを示していますね。
 
「善意による、相互互助関係が成り立っているから、敢えて規制する必要が無い。」
これが現在のパロディ同人に対する原著作者側のスタンスです。
公式を題材に、新たな作品を展開していく事で原作を更に盛り上げる事が
ファンとしてファンブックを作る同人活動の原点だったはず。
この事をパロディ側もきちんと自覚する必要があると思っています。

冒頭の発言に回答するならば
「あなたが当作品に対し、善意と好意からファン活動として二次創作をするならばOKですよ。
 一緒に盛り上げて下さいね。
 でもわざわざ害意を持って作品をおとしめるような行為をするのなら、排除しますよ」
と言う事になります。

他でも書きましたが現状では画像・文章データに対する違法ダウンロード法の適用は残念ながらありません。
しかし、
「原作をベースに新しくパロディを作る」クリエイト行為と
「タダで手に入る方法を見つけた」と言って万引きする行為を
著作権侵害と同列に論じるには値しません。

「罰則がないからやっても構わない」のか、
「読みたい本には正当に対価を払うまっとうな人間である事を選ぶ」のか
よく考えて欲しいと、切に願っています。

・・・あぁっ、ワイセツについて書くの忘れてた!
ま、長くなるからまた次の機会にでも・・・

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